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真綿について知識を深めてみませんか?
日本に古来から伝わる「真綿」。
真綿(まわた)とは、どんなものなのか知っていますか?「わた」の字がつくからコットンのわたのことかな?と答える方が多いのではないでしょうか。それほど、現代の生活には馴染みのないものになってしまったように思えますがでも、本当は・・・・・。
真綿って?
蚕の繭を綿状に引き伸ばしたもの。
本来これを「わた」と呼んでいましたが、のちに「木綿(もめん)わた」が登場し世間に広まってしまい、区別するために真綿と呼ぶようになりました。
また、繭から作られるものに絹(シルク)があります。 こちらは繭から紡いだ生糸で作られた織物のことをさします。真綿と絹は姉妹関係です。
真綿ふとん
天然繊維の女王である「絹(シルク)」と同じ原料から成る「真綿」は絹と同じ優れた機能特性を兼ね備えています。軽く・強く・保温性・吸湿性・発散性に富むため、高級寝具の「真綿ふとん」として珍重されてきました。
繭の利用方法
繭の品質と用途によって5種類に大別できます。
1.生糸 ・・・・ 繭1個から1本の繭糸を引き出し、同じように引き出された何本かの繭糸を集束して1本の糸としたもの。この糸で織られた物が「絹(シルク)」です。
2.玉糸 ・・・・ 通常、繭は1匹の蚕が1個の繭をつくりますが、2匹以上の蚕で1個の大きな繭をつくることがあります。これを玉繭と呼びます。この繭の糸はもつれた状態であるため、1本の繭糸を引き出すことは困難で節が多く、太目の繊維となります。このような糸を「玉糸」といい、「シャンタン」「リンシャン」という絹織物や「真綿ふとん」になります。
3.真綿 ・・・・ 生糸の原料として不適当な繭や玉繭などを練り・すすぎなどいくつかの工程で処理し、わた状に引き伸ばし成形したもの。「真綿ふとん」だけでなく「紬糸」として「結城紬」などの原料にもなります。
4.紬糸 ・・・・ 真綿を引き伸ばしながら手で紡いだ糸で、強さには定評がある。
5.絹紡糸 ・・ 生糸の製造過程で産出された、撥糸や撥繭などを精錬(繭を練る工程)してわた状(真綿ではない)にし、短繊維にしながら紡績した糸です。生糸の代用品として利用されることが多い。
シルク繊維の顕微鏡写真
真綿の成分
真綿は繭糸からなりますが、その成分について詳しく説明します。
1個の繭から得られる糸は、約1200~1500m・2.6~3.2デニール(太さの単位)。この糸は、2本のフィブロインという繊維がニカワ質のセリシンという物質に包まれた構造になっています。この1本のフィブロインは、100本ものフィブロリルが集束していて、さらに1本のフィブロリルは、無数のミクロンフィブロリルから成るという際限のない繊維構造です。この無数の繊維の隙間に空気がたまるため、保温効果に優れ通気性を高めています。
セルシン・フィブロインの成分は、たんぱく質。特にフィブロインは18種類のアミノ酸から構成されるたんぱく質です。
汗などの水分をすばやく吸収・放湿する優れた特性があり、最近は医療や美容にも応用されている。
真綿の特性
真綿は、寝具に求めれられる性能条件と健康維持を兼ね備えております。
1.さわやか ・・・・ 吸湿性・放湿性に優れているため、肌にやさしくムレを防ぐ。
睡眠中はコップ一杯の汗をかきます。吸湿性は綿の1.5倍。
2.あたたかい ・・・ 軽くてソフト、ドレープ性・保温性に優れている。
シルクの特性をもつ真綿だから冷え性の方にも安心な保温性。
3.心地いい ・・・・ 安眠を促すやさしい寝心地。
真綿に触れていると心のリラックス効果がある。(脳波の感性スペクトル装置による測定)
4.清潔 ・・・・ アレルギーの方にも。真綿の繊維自体からのホコリの心配が無く、静電気によるホコリの寄付けの心配もありません。さらに、消臭・防臭効果があります。
5.やさしい ・・・・ たんぱく質が成分なので、健康的な素肌を保つ。人間に必要なアミノ酸を含み皮膚を活性化させる作用がある。
6.安心 ・・・・ 防炎効果。
燃えにくく、有毒ガスを発生する事が無いので安心です。非常の際には、防炎服となり、防毒マスクの役目を果たします。
真綿のできるまで
1.練 り
・繭玉を麻袋や綿袋に入れて水に浸し、繭に水分を含ませておく。
↓
・釜で沸騰させたお湯に重曹を加え、水分を含んで繭を入れ40~50分間煮る。
(練りの工程が重要、セリシンを5%程度残す事が肝心)
2.すすぎ
・練りが終った繭にきれいな水で冷やしながらすすぎ、水を切る。(重曹や不純物を洗い流す)
↓
・繭糸が絡まないように、繭を1つずつ分けておく。
3.のばし・乾燥
・たらいに水をはり、すすいだ繭を1つずつ伸ばしながら蛹や脱皮殻を取り除く。
↓
・玉繭なら5~6個の精錬した繭を重ねて1枚の真綿に成形し、乾燥させる。
真綿ふとんの仕立作業
真綿ふとんのブランド
1.入金真綿(イリキン)
福島県伊達郡保原町を中心とした一帯で生産される真綿で、全国一の生産量を誇る。県内産の繭だけを用いており、「袋真綿」という独特の製法で作られています。
国産真綿の最高級品で、その大半は結城紬など高級紬織物の原糸として使われ、若干量が高級寝具用の真綿に使われます。
2.近江真綿
滋賀県坂田郡近江町一帯で生産される真綿です。厳選された繭を使用し「角真綿」という製法で作られています。その多くは高級寝具用の真綿に使われます。
3.中国産真綿
中国製の真綿は、中国各地で生産されており、その品質はさまざまです。
中でもトンシャンで作られている真綿は、寝具用に適してるといえます。
漂白剤を若干使用していることもあり、日本産の真綿に比べて、白度があります。
真綿のメンテナンス
1.必ずカバーをかけて使う。
2.直射日光を避け、日かげ干しにする。(30~60分程度)
絹(シルク)製品は、直射日光に当たりすぎると静電気を帯びやすくなります。
3.ふとんを叩くことは、避ける。
繊維や側地を傷めてしまうので、軽くブラッシングし、ホコリを払う。
4.長期収納する際は、シーツなどで包み湿気の少ない押入れにしまう。
防虫剤は直に接することの無い様に注意する。圧縮パック等の収納方法は適さない。
5.真綿のクリーニングは、避ける。
専門店に相談する事が望ましい。チャージソープの使用禁止。タンブル乾燥は不可。